万田邦敏&パロディアス・ユニティ

November 6, 2009 by Atsushi Funahashi

ご本人も昔のことと仰っているので、批評的言説にはなり得ないが、万田さんの8ミリ映画をずらっと見たという満足感から取り敢えず備忘録を。@アテネ・フランセ文化センター

西風  1977

一人の女性(万田作品のミューズ、永山愛子)が、死んだ男が残したメモにあったアンドレ・バザン、ゴダール、ジョナス・メカスに会いにゆく。「あなたはアンドレ・バザンですね」と云って立教大学の教室にはいると、グラサン姿の学生(黒沢さん?)がバザンである、という不条理。さらに、ゴダールも、メカスも同じ男により演じられ、カメラがぐるりと一周すれば、他の人物が登場してしまうゴダール・ジョーク。

四つ数えろ  1978

パロディとしてでしか、ヌーヴェル・ヴァーグを追跡できないのか。そんな諦念からか、それとも暴力的な破壊衝動からか、野蛮な意志に満ちた作品。音楽が急にとぎれ、かすれ声のモノローグが繰り返されのは、「彼女について知っている2,3の事柄」でしょう。

School Sounds   1978

60年代~70年代前期の政治の季節に、遅れて大学へ入ったパロディアス・ユニティは、形こそ大学闘争の文言、スタイルを踏襲しているが、くそまじめに、学食のきつねうどんと鳥うどんの値段を議論しているように、脱構築のパロディを演じ続ける。道化なのか、ゴダールなのか、とにかく映画には政治は関係ない、という姿勢は一貫している。銃を片手に、人質(?)を突き飛ばしながら歩く黒沢さんは嬉嬉としていた。

女の子はみんなふた子である  1980

ウェルメイドなオチまでつく秀作。双子の女の子をカットバックだけで見せてしまう、計算された演出。(失礼だが)ちゃんとおもしろいのだからスゴイ。心理学科の学生に心理療法テストをすると云われ、どんな大げさなモノかと思えば、女とベンチに寝っ転がって、無気力に質問に答えるだけ。この力の抜け方が、パロディアス・ユニティ全体に共通する時代性のような気がする。何も真剣にする必要ないでしょ、という感覚。モデルガンの銃を撃っても、決して血は流れないし、派手な音声効果をつけることもない。全共闘世代に対し、「何、一生懸命やってんの?」という冷めたギャグトーンが一貫している。

逃走前夜  1982

学生運動の決起集会をパロディ化。荒唐無稽と言ってもギャグセンスは必要で、学生たちが意味不明の行動を続ける室内シーンでも、それぞれの「バカ学生」の挙動がギャグとして機能するように配置されている。やっぱりキレる演出家だーー派手にぶちまければいいに違いないというだけのクストリッツァ「アンダーグランド」(これが笑えない)よりもキレていると云いたい。屋外シーンのロケット花火に向かって学生が突進を続けるのは、黒沢さんによるものだそう。勝手にしやがれシリーズにも継承されている。

大回転  1990

冒頭、川のフィックスショットに女性がすたすたと歩いてゆく。その足取りを辿るように茶色い鞄を持った男・三郎の後ろ姿がフレームインしてくる。まさにブレッソンだが、マネであろうと美しいものは美しい。知人曰く、ラルジャンの川音、犬の鳴き声まで使われている徹底ぶりらしい。田舎を後にした男は、美しい電車のショットとともに、「友達ひとりいない」東京を目指す。そこまでは美しいのだが、その後大都会のワイドショットの写真と、階段でひたすら寝続ける男の日々のモンタージュの出鱈目さ。映画はどんどん横滑りし、脱臼する。

中沢新一さん熱唱! トークイベント報告

November 4, 2009 by Atsushi Funahashi

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『谷中暮色』上映後、中沢新一さん(人類学者『アースダイバー』『森のバロック』など)をお迎えしてトークイベントが行いました。

前日まで問い合わせが殺到したため、急遽会場を変更。公開始まって以来最高の観客動員数を記録しました。

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<トーク抜粋>

今の若い人たちが時間や歴史の流れにもう一度組み込まれてほしいという願いがうかがえる。

普通の若者が谷中のおじいちゃん、おばあちゃんたちと出会っていく中で、時間の糸につながっていく様子が手にとるようにわかる作品である。

個の形成には太古からの呼び声の影響が大きい。それを無視して、先のことだけを考えて生きる現代人へ警鐘をならし、大昔から未来まで時間軸を拡張して今を生きることの大切さをうたっているという点で「アースダイバー」と共通点がある。

中沢新一さんが坂本九の「見上げてごらん夜の星を」を熱唱するという展開!「谷中暮色」の加藤さんのように、塔を見上げると誰しもが歌い出してしまうのでしょうか?

このイベントのテキストは近日公開する予定です。

リアスポで「谷中暮色」紹介

November 3, 2009 by Atsushi Funahashi

とうとうスポーツ誌にまで紹介されました。リアルスポーツです。

タイトルも熱い!

邦画魂 下町の青春白書なのに江戸中期へ「谷中暮色」

 

毎日新聞で「谷中暮色」紹介

November 2, 2009 by Atsushi Funahashi

本日付の毎日新聞夕刊で「谷中暮色」が紹介されました。以下抜粋です。

映画:「谷中暮色」焼失の五重塔描く 下町の象徴再建願い

幸田露伴の名作「五重塔」のモデルで、1957年に焼失した東京都台東区谷中の五重塔の再建を願う地元住民らが出演する映画「谷中暮色」が、新宿区の「シ ネマート新宿」で上映されている。在りし日の塔を懐かしむ住民の証言とともに、塔が炎上する当時の映像も収めてある。再建運動の関係者は「谷中の五重塔を 知ってもらえるいい機会だ」と話している。

記事へのリンクはこちら

満員御礼!! 「谷中暮色」初日大盛況! ”Deep in the Valley” packed Cenemart Shinjuku!

October 31, 2009 by Atsushi Funahashi

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本日より、シネマート新宿で「谷中暮色」の劇場公開が始まりました。開始は11:10分でしたが、会場前に既に定員オーバーの長蛇の列。立ち見の方、また満員の為来場をお断りをせざるを得なかった人まで続出しました。(たいへん、恐縮です。)しかし、これも嬉しい悲鳴。役者と僕の舞台挨拶も無難に、温かく迎えていただき感謝、感謝です。
パンフ(下写真)の方も売れて、4人に1人が購入していただいたとのこと。順調な滑り出しです!

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その後、スタッフで蕎麦屋で打ち上げ。互いに睡眠不足の日々を労ったのち、宣伝の吉川氏とポレポレ東中野へ。岡田茉莉子さんの自伝刊行記念レトロスペクティブが初日を迎えており、そこへ馳せ参じる。マキノの「やくざ囃子」、中村登「愛染かつら」「河口」など見ていても必ず再見したい作品や、「集金旅行」「春の夢」のように噂を聞くにつけ見逃した自分を恥じるばかりのものばかり。蓮實先生のトークイベントも拝聴。岡田茉莉子さんも途中加わり、彼女がいかにして映画界の一番バッター(小津作品)から四番バッター(深作作品)へと成長したかという新たな変貌の倫理は面白い。しかし、そこで「全く関係ないのですが、今日同じ日に、東京で映画の公開初日を迎えた映画作家がここに紛れ込んでおります。その人に起立いただき、作品について話していただきましょう」と蓮實さんからのムチャ振り。観客の注目が自分に集まる中、マイクロフォンが廻されてくる。蓮實さん、岡田さんの前で拙作の売り込みをする羽目になるとは!!

Interview by Japan Times & Great review by Indian Auteur.

October 30, 2009 by Atsushi Funahashi

My interview on “Deep in the Valley” has been published on Japan Times on Oct 30th.

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/ff20091030i1.html

And a great review by Anuj is now on view at Indian Auteur.

The film was reviwed during Ocian Cine-fan Film Festival.

谷中暮色ーREALTOKYO で紹介

October 28, 2009 by Atsushi Funahashi

東京のウェブ情報誌REALTOKYOで「谷中暮色」が紹介されました。

http://www.realtokyo.co.jp/events/view/29279

以下、一部抜粋です。

“彼岸と此岸の谷間のよう”と捉える作家の意図どおり、現代と江戸時代を自在に行き来するうち、不思議な浮遊感にとらわれていく。ひとは何を失い、何を残そうとしてきたか。年老いていく職人たちの貴重な言葉がジンと沁みてくる。

 

オルタナティブ・シネマ宣言、トークイベント@アテネ・フランセ

October 27, 2009 by Atsushi Funahashi

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夕方インドから帰国後、そのままアテネでトークイベントへ急行。
松村浩行さん、井土紀州さんと対談。「やっぱり映画公開は『祭り』なんだよ」という井土さんと、「借金をした方への重い『責任』」という松村さんの言葉に挟まれ刺激的な討議に。これは一回限りにしておくのは全くもってもったいない。この両監督+拙作を宣伝している吉川さんが思いつきブチ挙げたNode of Cinema (結節点)は、今後も是非モノで発展させてゆきたい。

デリー4日目、最終日 

October 27, 2009 by Atsushi Funahashi

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あんなに気をつけていたのに腹をやられる。原因はチャイの茶葉を買い物したとき、店主に勧められたチャイティー。それにもめげず、晩には招待を受けたLatika家でのプライベートディナーへ。他はJean-Marc & Martine Therouanne夫妻(仏Vesoul 映画祭ディレクター)のみで、溝口、吉田喜重(Vesoul映画祭でレトロスペクティブを開かれたそう)の話で盛り上がる。部屋も廊下も玄関も天井まである本棚に埋め尽くされた、いかにもアカデミシャンの邸宅。カレーのおかわりにとキッチンへゆくと、一人書斎で机に向かっている男性が。いかにも学者肌というその人物、目があって話し始めると、Latikaの旦那で同様にFilm Studies の専門家だということ。二人はインドの国費留学生でソルボンヌ大学で出逢ったとか。仏語も流暢なので薄々感づいていたのだが、彼らのシネフィリー熱の源泉はやはりフランスだった!さらに驚いたのがこの旦那さんはインドのロッセリーニ研究における権威で、最近 傑作”India “についての本を書き下ろしたとのこと。東京からデリーへの機内で、私はこの作品(ロッセリーニの中で最も好きなものと断言できる)について思いを馳せていたのだが、こんな形で出逢うとは夢にも思わなかった。映画で世界は繋がってゆくのだということを実感した一夜。その後、空港へ直行。深夜便で東京へ発った。

デリー3日目 Ocian Cine-fan Film Festival

October 26, 2009 by Atsushi Funahashi

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「谷中暮色」上映の翌日はプレス・カンファレンスとインタビュー数社。昨日書いたLatika さんが司会のカンファレンスは盛況。映画は見ていないけど取り敢えず来たという記者の失礼な質問をばっさりと斬り、他の質問へさっと移る彼女の司会ぶりは聡明そのもの。いくつか受けたインタビューで心に残ったのが、Indian Autuer 誌。インドのFlower Wild と云ったところで、Film CommentRougeとも提携しているシネフィリー誌。自作の話から、ペドロ・コスタ、ホークス、侯孝賢と多岐にわたる。
午後、少し時間が空いたので町に出る。値段は全て交渉で決まる世界はなかなか馬力がいる。1500ルピーと云ってたのが、実は半分以下の500ルピーほどで買えるそう。しかし、それは百洗錬磨のデリーっ子の話で、僕の場合4割引にもっていくのが、精一杯だった。