非情都市  鈴木英夫   (City of No Mercy, Hideo Suzuki)

東宝1960  90分
監督:鈴木英夫 脚本:井出雅人 撮影:逢沢譲
三橋達也、司葉子、菅井きん
東宝スコープ

間違いなく傑作。 ブンヤの三橋達也の興奮してまくし立てる口調が絶品。
彼の勤める東都新聞の部長や同僚など、中堅の役者が光っている。
そんな周囲の人間が止めるのも顧みず、暴走列車のように取材を独自に進めてしまう三橋記者の勢いが、カット、キャメラワークすべてに乗り移り、興奮を最高潮に盛り立てる。電話線が張り巡らされた新聞社の記者室、朝靄の中通過列車に身投げする男、柱を挟み構図ですばやく切り返す司と三橋のラブシーン(三橋を逮捕するため、刑事が近づいてくるというサスペンスの間に描かれる!)、任意出頭を命じられ警視庁取調室でなんとか刑事達の追求を軽口をたたきながら言い逃れる三橋の緊張(ジッポーライターを固く握る手のアップが素晴らしい)、共同記者会見の後、手洗いに行く警部に水栓をひねりハンカチを差し出しながら、情報を聞き出す特ダネ記者の手口など、細部まで詰められたスコープの活劇として完成度が高い。逢沢譲(鈴木の「社員無頼」シリーズ、「その場所に女ありて」、成瀬の「乱れ雲」など)の撮影も秀逸。ブンヤとしての「正義感」「情熱」がエスカレートするうちに、犯人隠匿罪を犯し、悪の一線を知らぬ間に超えてしまうとシノプシスを言っても何も映画を語ったことにならない。井出雅人(「鶴八鶴次郎」「妻は告白する」など)の脚本と、鈴木の演出の妙は、この早口の正義漢・三橋に、我々をどっぷり惚れさせてしまい、はっと気付くと新聞社の同僚・上司はおろか、恋人、社会そのものを敵に回してしまっていた、と最後の瞬間に呆然と気付く、という息をもつかせぬ集中力と展開力にある。

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