プレイングマネージャーの痛み  

映画「選挙フェス!」(杉岡太樹監督)

 現代の社会活動の最も過酷なものの一つといえるだろう、「選挙運動」がいかに一人の若者の精神と肉体を蝕み、同時に刺激し、高揚させ、有り得ない高みに突き上げてゆくのか。究極には自分の主体性と指示によってしか動かないスタッフやメディア、支援者の中で、一人で全てを企画し突き詰めてゆくしかない孤独は、その若者を追いつめ、ボブ・マーリーやディエゴ・マラドーナ(もしくはキング牧師)のごとく歴史上のアイコンになれると本気で自分を信じ込ませてゆくしかない、神経症的な重圧状況が説得力のある形で画面に押し寄せてくる。そんな極度のインテンシティに、三宅洋平だけでなく、見る観客へも圧倒的な陶酔と憔悴をもたらすのがこの作品の強度と言える。

三宅洋平自身の人としての魅力は、充分に描写されている。支持者との論争で、とことん腰を据えて話そうとする三宅の姿勢は尊敬できるものだし、ステージ上/演壇上で、次から次へと言葉を音楽的に繰り出してゆくグルーブ感は突出しており、それは彼の突出した才能だと納得する。

本人の語る素晴らしい(皮肉でなく)政策と理想があろうとも、そんなことお構いなしに起きる現場での細々とした問題。日々の「選挙活動」の雑用の中で、ボランティアを束ね、現場のスタッフを刺激し続けるプレイングマネージャーの辛さは、ひりひりする。

とはいうものの、そんな三宅がどう社会に受け入れられているのかという描出が少し弱い。三宅洋平個人に張り付きすぎて、若者の中に生まれた新たな民主主義への熱気のような社会現象まで見えてこない。

そんなこと報道で知ってんだからいらない、という声もあるだろう。しかし、本人が「選挙=一滴の血も流さない革命」というのだから、社会がどう変革しているのか、小さな窓から外の社会の何が見えてくるのか、外への穴を穿とうとする視点があるべきでは、と思う。

作品の強度は圧巻であるので見られるべき一本だろう。

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