ダンケルク

Dunkirk  by Christopher Nolan

The Dark Knight は傑作だったが、それ以外はまったく良いと思ったことのないChristopher Nolan. Memento など初期からずっと見続けているし、Hans Zimmer による音楽など見所を満載させる山師的才能は傑出しているので、ついつい劇場に見に行ってしまう。例によって”Dunkirk” も封切りで見た。

Inception でも感じたことなのだが、史上最大の作戦を幾つもの視点からこれ以上ないほど大げさに描き、その果てにある意味「だからなに?」は問わずにおくというのが彼のスタイルなのだろう。今回も第二次大戦初期の、連合軍が圧倒的にナチスドイツに押されていた時期の大撤退作戦を、陸、海、空の3つの軸で描いてゆく。複数の人間(今回は兵士)が絶体絶命のピンチに巻き込まれてゆく描写は相変わらずうまいのであるが、この人間を見ていたい、この人間の吐く言葉と肉声を聞いていたい、このじいさん、もしくはこの若者をずっと見続けたい、というような深みのあるキャラが登場することは皆無。20世紀ではなく、むしろ21世紀的な散漫でド派手な戦争ショーに付き合わされる。そして、戦争に対する作家的視点はなく、最後は撤退はしたものの英国は決して負けない、という戦意高揚の音楽と共に終幕する。イーストウッドなら絶対そんなマーチ音楽が、空虚に空々しく響くはずのところをマジで盛り上げようとしている点はげんなりしてしまった。彼は、特殊なサーカスとしての映画に興味があり、それはジェームズ・キャメロンのそれに近いものだろう。やたら心臓の鼓動や、金属が軋み合う重低音はやり過ぎ感があったが、ただ戦闘機が画面を横断する「音」は本当に凄まじかった、とそれだけは賛美しておく。

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